経理の繁忙期カレンダー|月別の業務スケジュールと乗り切るコツを経理歴20年が解説

「経理の繁忙期っていつ?」「忙しい時期と暇な時期の差はどのくらい?」

経理への転職を考えている方や、経理に配属されたばかりの方にとって、繁忙期の実態は気になるポイントですよね。

私は経理一筋約20年。繁忙期の修羅場も数え切れないほど経験してきました。

この記事では、経理の繁忙期を月別カレンダー形式で解説し、忙しい時期を乗り切るための実践的なコツも紹介します。3月決算の企業を基準に説明しますが、決算月が異なる企業の方にも参考になるように構成しています。

クリックできる目次

この記事で分かること

  • 経理の繁忙期・閑散期がいつなのか(月別カレンダー)
  • 各月の具体的な業務内容とスケジュール
  • 繁忙期の残業時間のリアルな実態
  • 繁忙期を乗り切るための実践的なコツ

経理の繁忙期カレンダー(3月決算企業)

忙しさ 主な業務 残業目安
4月★★★★★年次決算スタート・決算整理仕訳40〜80h
5月★★★★★決算確定・法人税/消費税申告40〜80h
6月★★★★☆株主総会・有価証券報告書20〜40h
7月★★★☆☆Q1決算・賞与処理・算定基礎届20〜30h
8月★★☆☆☆通常業務・有給消化チャンス0〜10h
9月★★☆☆☆通常業務・業務改善・研修0〜10h
10月★★★☆☆中間決算20〜40h
11月★★★★☆中間確定・年末調整準備20〜40h
12月★★★★☆年末調整・賞与処理20〜40h
1月★★★★☆法定調書・償却資産申告・Q3決算20〜40h
2月★★★☆☆予算策定・年度末準備10〜30h
3月★★★★☆期末処理・棚卸・決算準備10〜30h

※残業時間は目安です。企業規模や人員体制により異なります

経理の繁忙期はいつ?年間スケジュール概要

経理の忙しさは、1年を通じて大きく波があります。3月決算企業を前提に、年間の忙しさを5段階で評価すると以下のようになります。

  • 4月:★★★★★(最繁忙期)年次決算スタート
  • 5月:★★★★★(最繁忙期)決算確定・税務申告
  • 6月:★★★★☆(繁忙期)株主総会・有価証券報告書
  • 7月:★★★☆☆(やや忙しい)第1四半期決算
  • 8月:★★☆☆☆(閑散期)通常業務中心
  • 9月:★★☆☆☆(閑散期)通常業務中心
  • 10月:★★★☆☆(やや忙しい)中間決算
  • 11月:★★★★☆(繁忙期)中間決算確定・年末調整準備
  • 12月:★★★★☆(繁忙期)年末調整・第3四半期決算準備
  • 1月:★★★★☆(繁忙期)第3四半期決算・法定調書
  • 2月:★★★☆☆(やや忙しい)予算策定・年度末準備
  • 3月:★★★★☆(繁忙期)期末処理・棚卸

ご覧のとおり、経理は1年のうち約半分が繁忙期です。特に4月〜6月の年次決算シーズンが最も忙しく、この時期は残業が月40〜80時間に達することも珍しくありません。

【月別】経理の繁忙期カレンダー詳細

4月:年次決算スタート【最繁忙期】

3月決算企業にとって、4月は年次決算の始まりです。年間で最も忙しい時期の一つです。

主な業務:

  • 期末の売上・費用の確定作業
  • 売掛金・買掛金の残高確認
  • 固定資産の棚卸・減価償却計算
  • 引当金の計算・計上
  • 決算整理仕訳の作成
  • 監査法人対応(上場企業の場合)

残業時間の目安:月40〜80時間

4月は「3月末の数字を固める」作業に追われます。営業部門からの売上報告が遅れたり、経費の請求が遅延したりすると、経理の作業がさらに圧迫されます。

5月:決算確定・税務申告【最繁忙期】

決算数値の最終確定と税務申告が重なる、4月と並ぶ最繁忙月です。

主な業務:

  • 決算数値の最終確定
  • 決算短信の作成(上場企業)
  • 法人税・消費税・地方税の申告書作成
  • 税理士との最終確認
  • 取締役会への決算報告資料作成

残業時間の目安:月40〜80時間

法人税の申告期限は決算日から2ヶ月以内(3月決算なら5月末)です。この期限に間に合わせるため、GW返上で作業する経理担当者も少なくありません。

6月:株主総会・報告書【繁忙期】

主な業務:

  • 有価証券報告書の作成・提出(上場企業)
  • 株主総会の準備・運営
  • 計算書類の確定
  • 住民税の特別徴収額の更新

残業時間の目安:月20〜40時間

7月:第1四半期決算【やや忙しい】

主な業務:

  • 第1四半期決算の処理
  • 四半期報告書の作成(上場企業)
  • 賞与の計算・支給処理
  • 社会保険の算定基礎届の提出

残業時間の目安:月20〜30時間

8月〜9月:閑散期【比較的落ち着く】

8月〜9月は経理にとって貴重な閑散期です。通常の月次業務が中心で、残業も少なめです。

主な業務:

  • 月次決算(通常業務)
  • 業務改善・マニュアル整備
  • 下半期の予算見直し
  • 研修・資格勉強の時間確保

残業時間の目安:月0〜10時間

この時期に有給休暇を取る経理担当者が多いです。また、業務改善や新しいシステムの導入検討など、繁忙期にはできないプロジェクトに取り組むのにも最適な期間です。

10月〜11月:中間決算【繁忙期】

主な業務:

  • 中間決算の処理
  • 中間報告書の作成(上場企業)
  • 年末調整の準備(扶養控除等申告書の回収)
  • 来期の予算策定の開始

残業時間の目安:月20〜40時間

12月:年末調整【繁忙期】

主な業務:

  • 年末調整の計算・処理
  • 冬季賞与の計算・支給
  • 第3四半期決算の準備
  • 来期予算の策定作業

残業時間の目安:月20〜40時間

年末調整は従業員数が多い会社ほど作業量が膨大になります。近年はクラウドツールによる電子化が進んでいますが、書類の不備対応や問い合わせ対応は依然として手作業です。

1月:法定調書・償却資産申告【繁忙期】

主な業務:

  • 法定調書(源泉徴収票・支払調書等)の作成・提出
  • 償却資産の申告
  • 第3四半期決算の処理
  • 給与支払報告書の提出

残業時間の目安:月20〜40時間

1月末が法定調書と償却資産申告の期限です。年末調整の処理と合わせて、年明け早々から忙しくなります。

2月〜3月:年度末準備【やや忙しい〜繁忙期】

主な業務:

  • 来期予算の最終確定
  • 期末の経過勘定の整理
  • 棚卸資産の実地棚卸
  • 固定資産の棚卸
  • 年度末の支払い・請求の締め作業

残業時間の目安:月10〜30時間

3月は決算日に向けた準備期間です。棚卸の立会いや、期末日をまたぐ取引の処理方針の確認など、年次決算をスムーズに進めるための段取りが重要になります。

繁忙期を乗り切る5つのコツ

①決算スケジュールを作り込む

繁忙期を乗り切る最大のポイントは「段取り」です。決算スケジュール(決算タスクを日単位で管理する表)を事前に作り込み、チーム全体で共有しましょう。「誰が」「いつまでに」「何をやるか」を明確にするだけで、繁忙期の混乱は大幅に軽減されます。

②前倒しでできる作業は先に片づける

閑散期(8月〜9月)のうちに、繁忙期の準備を進めておくことが重要です。決算整理の資料テンプレートの更新、チェックリストの見直し、マニュアルの改訂など、事前にできることは意外とたくさんあります。

③定型業務は自動化する

仕訳の自動化、Excelマクロによるレポート自動生成、RPAによるデータ転記の自動化など、繰り返し行う作業は可能な限り自動化しましょう。閑散期に自動化の仕組みを作っておけば、繁忙期の作業量を大幅に削減できます。

④体調管理を最優先にする

繁忙期は長時間労働になりがちですが、体調を崩してしまうと元も子もありません。睡眠時間の確保、適度な運動、食事のバランスを意識しましょう。私は繁忙期でも最低6時間の睡眠は確保するようにしています。

⑤閑散期にしっかり休む

8月〜9月の閑散期は、まとまった休暇を取るチャンスです。繁忙期に頑張った分、閑散期にはしっかりリフレッシュしましょう。メリハリのある働き方が、経理を長く続けるコツです。

決算期別の繁忙期の違い

ここまで3月決算企業を前提に解説してきましたが、実際には企業によって決算期は異なります。決算期が変われば繁忙期のタイミングも変わるため、転職先を選ぶ際の参考にしてください。

12月決算企業の場合

外資系企業やグローバル企業に多いのが12月決算です。この場合、年末年始が最も忙しい時期になります。1月〜2月が年次決算の集中期間となり、年末調整の時期とも重なるため、11月〜2月が繁忙期です。

メリットとしては、3月決算企業が多い日本では、税理士や監査法人のスケジュールに余裕があるため、外部との連携がスムーズに進みやすい点があります。一方で、年末年始の休暇が取りにくいというデメリットもあります。

9月決算・6月決算企業の場合

小売業やアパレル業界では9月決算や2月決算が多く、IT企業では6月決算を採用している企業もあります。これらの企業では、3月決算企業の繁忙期と時期がズレるため、業界全体が忙しい時期を避けられるメリットがあります。

繁忙期の時期を重視して転職先を選ぶのも、ワークライフバランスを考える上で有効な戦略です。

繁忙期を見据えた転職のベストタイミング

経理の転職を考えているなら、繁忙期を意識したタイミング選びが重要です。入社時期を間違えると、引き継ぎが不十分なまま決算に突入することになりかねません。

おすすめの入社時期

3月決算企業の場合、最もおすすめの入社時期は7月〜9月です。この時期は年次決算が一段落し、上半期の比較的落ち着いた時期に当たるため、業務の引き継ぎや社内の仕組みを覚える余裕があります。

次におすすめなのが10月〜11月です。中間決算の時期ではありますが、年次決算ほどの忙しさではなく、12月の年末調整や3月の本決算に向けて実務を経験しながら慣れていけるメリットがあります。

避けたい入社時期

3月〜5月は避けた方が無難です。年次決算の真っ只中に入社すると、周囲も教える余裕がなく、新人としても何をしていいか分からないまま繁忙期に巻き込まれてしまいます。私の同僚で4月入社した人が「何も分からないまま決算を迎えて地獄だった」と話していたのが印象的です。

転職活動自体は繁忙期の3〜4ヶ月前から始めるのがベストです。つまり、7月入社を目指すなら3〜4月から、10月入社なら6〜7月から動き始めましょう。

繁忙期の転職活動は可能?

「今まさに繁忙期だけど転職したい」という方もいるでしょう。結論から言えば、繁忙期中の転職活動は可能ですが、工夫が必要です。

まず、転職エージェントに登録しておけば、求人情報の収集やスケジュール調整を代行してもらえるため、忙しい時期でも効率的に進められます。面接は有給を使って平日に行うのが基本ですが、最近はオンライン面接に対応している企業も増えているため、昼休みや業務後の時間を活用することも可能です。

繁忙期を乗り越えた直後の6〜7月は、達成感と同時に「このままでいいのか」と考えるタイミングでもあります。この時期に転職を決断する経理パーソンは非常に多く、求人も増える傾向にあります。

よくある質問

Q. 経理の繁忙期は残業代が出ますか?

A. 法律上、残業した分の残業代は支払われなければなりません。ただし、みなし残業(固定残業代)制を採用している企業では、一定時間分の残業代が給与に含まれているケースがあります。転職時には残業代の支給条件を必ず確認しましょう。

Q. 繁忙期に有給休暇は取れますか?

A. 法律上は取得可能ですが、現実的には4月〜6月の最繁忙期に長期休暇を取るのは難しいです。多くの経理担当者は、8月〜9月の閑散期にまとめて有給を取得しています。ただし、繁忙期でも1日程度の休暇であれば調整次第で取得可能です。

Q. 決算月が3月以外の場合、繁忙期はいつですか?

A. 決算月の翌月〜翌々月が最繁忙期になります。たとえば12月決算なら1月〜2月が最繁忙期です。ただし、年末調整(12月)や法定調書(1月末)など、決算月に関係なく発生する業務もあるため、12月〜1月は決算月にかかわらず忙しくなる傾向があります。

Q. 経理の繁忙期が嫌で転職を考えています。繁忙期が少ない会社はありますか?

A. 経理である以上、決算期の繁忙は避けられません。ただし、繁忙期の負荷は企業によって大きく異なります。人員が充実している大企業や、業務効率化が進んでいるIT企業などは、比較的繁忙期の負荷が小さい傾向があります。転職時に「決算期の残業時間」を面接で確認するのがおすすめです。

まとめ:繁忙期を知れば経理はもっと楽になる

経理の繁忙期は、4月〜6月の年次決算シーズンがピークです。それ以外にも四半期決算、年末調整、法定調書など、1年を通じて忙しい時期が点在します。

しかし、年間スケジュールを把握し、事前の準備と段取りをしっかり行うことで、繁忙期の負荷は大幅に軽減できます。

経理の仕事は繁忙期と閑散期のメリハリが大きい職種です。この特性を理解し、うまく付き合っていくことが、経理として長く活躍するためのコツです。

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